何を言いたいのか意味不明。

非正規労働者のメーデー 「アベノミクスから雇用を守れ」(田中龍作)
– BLOGOS(ブロゴス) http://blogos.com/article/61392/

というか論理的に意味が通っていない。
推測で埋めて意味が通るように考えてみると、どうもこの田中龍作 [1] なる御仁の頭のなかでは「有期契約労働者(非正規)と無期契約労働者(正規社員)の差別は固定」されている信仰が大前提になっているみたいだ。
この大前提を置くと「無期契約労働者の労働条件が悪くなる [2] のなら、これに連動して有期契約労働者の労働条件はより一層悪くなる」という結論が導き出され意味が通るからだ。
実際のところは、

池田信夫 blog : 非正社員の敵はどこにいるのか
– ライブドアブログ http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51854369.html

で池田氏が述べている通り、今まで異常に厚遇され過ぎてきた無期契約労働者の「厚遇さ」が無くなるだけなのだ。 更には(池田氏は「社員を雇いやすくすること」とサラリと述べているだけだが)「解雇しやすくなること」と「雇いやすくなること」はコインの裏表の関係であると言っているのである。
「資本家というものは強欲で労働者から搾取することしか考えていない」と条件反射するマルクス・レーニン主義的洗脳頭では「そんなことはあり得ない」と認識され思考停止「リストラをすれば企業の内部留保は増え株価はあがる」という風が吹けば桶屋が儲かる式の乱暴な三段論法に納得してしまうようだが、普通に考えて、人を雇わないと仕事が回らない企業に於いて雇うことを減らすだけで内部留保が増えて株価が上がるなら従業員全員を解雇した企業の経営者はウハウハで笑いが止まらないということになるが、実際には(考えなくても分かる通り)その会社は潰れるだけである。

簡単な算術で、今まで100万円の月給で90人雇っていた企業がこれを止めて月給30万円で人を雇い直したとしたら、単純計算なら100万円×90人=9000万円→9000万円÷30万円=300人雇える計算になる。 実際には例えば「人件費が軽くなる分の30%は商品(サービス)の提供価格の値下げに回させて貰うとして」と経営者が考え、9000万円×0.7÷30万円=210人ということになったり、「いやウチの仕事は300人も人員が要らない、150人で充分」と9000万円÷150人=60万円(先の30%経費削減策を実施しても42万円)ということになったりするだろうが、何れにしても雇う人数が増える傾向または、無期契約労働者を厚遇し過ぎた皺寄せで必要以上に買い叩かれていた有期契約労働者 [3] の給与水準が上がる傾向が強く見込めることは分かるはず。
「そんなの希望的観測に過ぎない」という声が聞こえてきそうだが、必要以上に(蓋然性を逸脱した)安い給料で人を雇おうとしたする企業が現れても [4] 結局は充分な人数もしくは能力を備えた人員を確保できなくて適切な水準まで給与設定を上げざるを得なくなる。市場原理とはそういうものだ。 著しい薄給で雇わないと経営が成り立たない会社は当然潰れる。これも市場原理である [5]
現段階までは無期契約労働者の給与の下方硬直性が著しく在るので、市場原理は有期契約労働者の方への皺寄せとしか働いていなくて、だから上辺だけを見れば「市場原理=悪」と映りやすいのはわからなくもないが、実は問題は市場原理の方ではなく、市場原理が公平に機能しない元凶の一つである無期契約労働者の給与の下方硬直性の方なのであり、これを確固たるものに担保する終身雇用(無期契約労働)という考え方自体なのである。 上の給与下方硬直性に手を着けずに最低賃金水準を上げる発想をするのは雇用自体の海外流出を促進するだけで有害無益である(給与下方硬直性を改善した上ならばそれなりに意味はある)。
当然この「給与の下方硬直性」に守られてきた「無期契約労働者」たちはにとっては労働条件は間違いなく悪化するので反対の声を上げる。やれ「市場原理主義=悪」だの「労働者搾取」だの「労働者階級差別」だの、、、さも、これまで虐げられてきている有期契約労働者の「仲間」であるかのような口ぶりで。(都合の良い時だけ「労働者」というバズワードで被害者の仲間ぶって自分達の特権を強化してきたヤツラは、また同じ手を使おうとしている)

——–[ 脚注 ]—————-
  1. 「田中龍作」でサクッとググってみた(https://www.google.co.jp/search?client=safari&rls=en&q=%E7%94%B0%E4%B8%AD%E9%BE%8D%E4%BD%9C&ie=UTF-8&oe=UTF-8&redir_esc=&ei=QX2FUdrpPI-ViQfb4ICABA)ところ「貧困ビジネス」の方のようである。「貧困ビジネス」とは、弱者の味方のフリをして生計を立てている輩・・・おまんまの食い上げになるので弱者が居なくなると困る・・・を指すバズワード。福島瑞穂、上杉隆などが典型例
  2. 今まで実質不可能だった解雇ができるようになるだけだが
  3. 実際には大企業の皺寄せを同じく受ける身の中小零細企業も含む
  4. 過渡的現象として現れる可能性はある
  5. 露骨に好ましくない労働条件が社会から淘汰されることは労働者にとっては喜ぶべきことである。「雇用が減る」と云ってこういう類を生き残らせるのは本末転倒