楽観的TPP賛成論は嘘だ、が
9月 05
TPPは日本の敵か – 『日本経済の底力』 : アゴラ
池田 信夫
http://agora-web.jp/archives/1377827.html
農水族の云う農業保護は「農政(に纏わる既得権益)保護」でありこれの共同正犯である「農協保護」である。
「マレーシアから持ってきたウナギを、浜名湖で1週間泳がせたら浜名湖産のウナギになる」・・・国産だとしてよいという欺瞞的手法がまかり通っているというのは大前研一氏などがかなり以前から指摘しているところである。 → http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/107/
この欺瞞的手法の上に乗っかって今や一大流通業化しているのが農協の実態。
引用元本文にあるように「むしろ日本から輸出できる農作物もある」というのは事実だが、大半(八割方)の農業は壊滅するだろう。
但し、この八割とは「本当ならとうの昔に滅んでいて当然の、補助金、優遇税制によって農家のフリだけしていた偽装農家」であるので、こんなもの国の政策として守るべきものである筈ないのは自明。
もちろん私はTPP加入賛成派だが、TPPに加入するのがバラ色の未来を約束ものであるかのように言っている人があるなら、これは「大法螺吹き」の誹りを免れない。つまりTPP加入はバラ色の未来を約束するものではないということだ。
「先に光明の無い閉塞状態」と「先に光明がある混乱状態(*1)」とどっちらがマシかという選択である。
生の全体性と充実は苦しみと喜びの釣り合いを必要としている。 しかし苦しみは実際不快であるので、誰でも人間がどれくらい不安や心配をもつがいいのかを考えないようにするのが適当である。 それゆえ、苦しみがある程度まで十分にないと幸福も毒されてしまうということを考えてみもしないで、つねに改善や夢のような幸福について口当たりよく語られるのである。
C・G・ユング『心理療法論』所収「心理療法と世界観」みすず書房/林道義訳 P71〜72より引用
楽観的見方を避けるなら、その利益を享受できるのは今の子供世代が社会の中核を担うようになった頃だろうと個人的には思っている。
この点を加味するなら、経済学者が政治・経済の範囲外に言及しないのは当然としても、教育関係者から「その時」に備えて真に国際的に通用する人材を育てる必要性の話(今までのお題目だけのエセ・グローバリズムではない)が出てきて当然だと思うのだが、今のところそういう話は聞こえてこない。
今の大人達が自分達の幸せ(既得権益)を近視眼的に死守するか、子供達の未来のことを考えるか、どっちなんだ?という話でもある。
再度言うが、TPP加入はバラ色の未来を約束するものではない。が、チャレンジングなフィールドを若者達に提供することになる事だけは確かだと言える。
チャレンジングなフィールドを与えるだけでも若者の有り様が変わってき、ひいては社会全体の活力を取り戻すことになるのではないだろうか?