先ずこの動画を見てほしい。この中で印象的なのは「日本人って何でこんなにだらしないのか。と。あれだけの事故を起こしながら反省もしていないし新しい組織も作っていないし、新しいやりかたを”これだ”と示していない」という部分。
つまり大前氏の言わんとしていることは、大小に関らず事故・トラブルが起こった場合に、その原因、問題点を論理的・理性的に分析して改善、改良に繋げるのが理性的大人の取るべき行動であって、誰が悪いだ誰のせいだと吊るし上げる対象探しをするのは子供のすることだということだと言ってよいだろう。 後者は一見「責任追及」であるかに見えて実は「俺は悪くない」「私は悪くない」と責任回避の自己保身の行動である側面の方が強いのである。今、日本のマスコミ(特に朝日)、そしてマスコミの論調に同調して正義漢ぶっている人たちの取っている行動はこれであるという自覚を持った方が良い。責任追及しているつもりになれて、かつ自己保身出来る実に都合の良い態度なのだと。

さぁ、それで本題であるが、、、殊、原発問題に関しては橋下氏の近視眼的対応(というより反応)は目に余る。日本復興計画 Japan;The Road to Recovery
以前から大前研一氏の本を読んでいたみたいだし、また池田信夫氏のブログを読者であるらしいし、つい先頃池田氏とtwitter上で意見の交換を活発にしていたりもしたので、それなり以上の的確な情報は把握していたと思われるのに、再稼働問題を含む原発問題に関してのコミットメントは稚拙の一言・・・小学生並みの正義感である。
もっと先を見越した時局判断のできる人だと思っていたのだが、買被りだったのか。

原則論を言えば、池田氏の指摘するようにエネルギー行政に地方自治体の長が兎や角言える法的権限はない(意見を述べる自由はあるという意味の権利はあるが)。中央政府であっても、国会審議を経た法律改正、特別立法等の手続きを踏まないで恣意的に原発稼働を差し止めることは違法(贔屓目に言っても脱法)行為である。この点は押さえておく必要はある。

それはそれとしても直接的行使力はなくとも、関西連合または維新の会として意思表示してオピニオン(世論)をリードすることには大いに意味があるので、では、じゃあ、どういうオピニオンを発信して行けば良いのかという話であるが。

なぜ安全性を自分たちで担保しないのか | 物語り研究所「夢前案内人」

以前のこのエントリーで既に述べた通り「実際問題安全性が確保されているのかどうかが大事」なのであって、「なんとなく怖い」という子供の情緒論に同調することではない。
因みにであるが、反原発派、嫌原発派の人も憶えておいて欲しいのが「稼働していようが停止状態であろうが原発の安全度(危険度)は同じ」である点。機械工学的見地を入れれば「動いている方が寧ろ安全」とさえ言えるという点。
そして以下に引用するH2Oプロジェクトの詳細分析をみれば分かる通り、関電管内の(少なくとも大飯3号機、4号機)に関しては十分安全が担保されているということ。

English trans-script is available on all these Videos bellow.



  • TeamH2O発表「福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか」最終報告 資料(約13MB)
    ⇒ http://pr.bbt757.com/pdf/conclusion_111227.pdf
  • TeamH2O発表「福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか」最終報告 補足資料
    (全プラント比較:約290KB)⇒ http://pr.bbt757.com/pdf/apdx_chronology_and_power-loss.pdf
    (教訓の適用可否:約438KB)⇒ http://pr.bbt757.com/pdf/apdx_applicability_to_pwp.pdf
  • Press Release – What should we learn from the severe accident at the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant?
    ⇒ http://pr.bbt757.com/eng/

この点は明白な事実である。

問題は同上エントリーでも書いた通り

経産省の「原子力行政全般に対する不信」がその正体なのだと分かろう筈。 であるならば、幾ら改善策を施そうが、また、その改善策が実際に有効なものであっても、これを国民から信用されていない経産省、原子力安全・保安院の方を向いて行なっている限り、一般市民からの信任は得られる筈はない。

国および電力業界が信用を失っているのが事実であるが、この付和雷同世論に同調して「お前ら信用できないから(原発の運転も)信用できない」というレベルの低い循環論法を展開するのではなくて橋下氏および維新の会は、原発再稼働を前提と宣言した上で「但し、その代わり市民を説得できるに十分な状態を作り、かつ、この情報を100%開示せよ」と関西電力にプレッシャーを掛ける戦法(協力姿勢を示しつつプレッシャーを掛ける「敵対的協力戦法」)を取るべきだったのだ。 十分な裏付けのあるデータを基に人々を説得するのは橋下氏の得意とするところではなかったのか?

どうも、ここまでのところを観察する限り、原発再稼働に反対の人が多数派だと橋下氏は本気で思っているきらいがあるが、ハッキリ云おう「それは大いなる誤解。勘違いも甚だしい」と。若しくは「あなたの取り巻きに偏った意見の人が集まり過ぎているのではないですか?」と。

これが断言できるのは簡単な話で、詳細な分析による科学的データなど要らない。
大阪市中を見回して、節電をしているのは役所と付き合いのあって仕方なく協力している組織、団体、企業、「お願い」という名の「行政指導」に従わざるを得ない企業だけであって、一般家庭で節電協力をしている人は、イデオロギー的にそっち方面の人か、朝日新聞の熱心の読者だけである。
大阪の人間は「実際的」である。よく利己的と勘違いされることがあるが「実際的」なのである。合理的必然性があると判断されたら、ちゃんと節電協力する。それがないから協力しない。ただそれだけである。
この市民の行動を「既に答えは出ている」と受け止めれないのなら政治家として失格だよ、橋下くん。

あなたが今まで批判し、敵に回してきた人達というのは、「サイレント・マジョリティ(寡黙な多数派)」の意向を見抜こうとせず「ラウドネス・マイノリティ(声の大きい少数派)」の圧力に屈するという安易な道を選んできた既成政党であり既存政治家だったのじゃないのですか? 彼らが安易な道を選んできたことで、世の中「既得権益者得」「利益誘導巧者得」になってしまったのを打破し、改革するために大阪知事になり、維新の会を結成し、知事を辞して大阪市長になり、してきたのではないのですか?

少し前にその発言が物議を醸した古賀氏の云ったのとは全く別の意味で「停電テロ」は起こるかもよ。
それは大半の市民による「原発停止したままで居てられると云うならやってみろよ。節電協力なんか絶対にしないから。夏の電力消費ピーク時に停電になったら、その時が見物だね」というかたちで。
これの責任を関西電力の方へ持って行くのはお門違いだと言っておく。 橋下くん君達の責任だからね。

今からでも遅くない、「180度方向転換して、原発再稼働:その代わり安全監視機関を国主導ではなく地域主導で作ること」 → つまり「自分達の安全は自分達で確保維持していく」という方針に舵を切るべきだ。

本当に安全を考えるなら、老朽化しているだけでなく設計思想の古い(古過ぎる)炉は廃炉して新型の炉に立て替えていくべきだ。まだ実用段階には無いが第四世代の原子炉なら大阪の街中に建設しても全然問題ないと僕個人は考えている。 実際、使い道に困っている遊休地は埋め立て地にいっぱい在るのだし。 ある程度以上のリスクを伴っているテクノロジーは、自動車然り、航空機然りで「リスクをコントロール下に収めることで致命的な事態に至らないようにする」ことが定石であり、リスクを遠ざけることは逆に致命的な事態が起こることの予見性を失くす(視野の外にやることなので)ということを、もっと皆は知っておくべきだ。

CHINE • Bill Gates se branche sur le nucléaire | Courrier international
http://www.courrierinternational.com/article/2011/12/08/bill-gates-se-branche-sur-le-nucleaire
ビル・ゲイツ氏が中国の原発に関心 中国で提携先を模索 2011/12/12(月) 14:57:33 [サーチナ]
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=1212&f=business_1212_199.shtml

先頃流れたこのニュース。個人的には「中国に先を越された!」と思ったのだが、これに中国に先んじて手を挙げるべきだったのだよ橋下くん。 池田信夫氏に頼めばビル・ゲイツと話し合う場を設けるくらいはして貰える筈だから、依頼してみてはどうだろうか?

本題よりも重要かもしれない補記: 上に引用のH2Oプロジェクトの詳細分析の中で非常に気になる、看過できない点として「全電源喪失について検討するべきか?」との東電からの問い合わせに対して「考慮に入れなくてよい」と原子力安全委員会が返答している(福島の事故以前の話)という点。 全電源喪失状態が長時間続くと燃料損傷、炉心溶融することは、少なくとも10年前から原子力技術者の間では常識化している(庄司調べ)ので、こんなナンセンスな問い合わせをする東電も東電であるが、これに「検討の必要なし」と答える原子力安全委員会も原子力安全委員会である。 この点はきちんと責任追及されるべきであるのだが、この情報を伝えているマスコミは皆無(反原発の朝日ですら)なのは、どういうことであろうか? この一点を取上げても、彼は(安心という情緒論を振り回すだけで)真剣に安全を追求するつもりなど更々無いのだと言って良いだろうと思う。