私がなぜ原子力発電推進なのか
6月 07
ロジカルシンキングのすすめ ロジカルシンキングのすすめ, 原子力発電, 原発議論, 反原発, 意識化 No Comments
私がなぜ原子力発電推進派なのか簡潔に示します。
- これから世界は、中国、インド、そしてアフリカ諸国が繁栄の方向へ向かおうとしていることで爆発的に電力を必要としてきつつある。
- 日本を含めいわゆる先進国はこの二世紀の間、化石燃料を潤沢に使って社会を繁栄させて来た。
- 原子力発電という選択肢を無くすと、彼らには化石燃料(特に安価な石炭)という選択をするしかなくなる。
- そうなると地球温暖化、地球規模での大気汚染の問題は今以上に深刻な問題になる。
- 今までの二世紀にわたって先進国はさんざん化石燃料を消費して我が世の春を謳歌して来(しかも,その間は欧米列強諸国以外にとっては植民地化されていた歴史でもある)ておいて彼がその番になった時に「地球環境保護」の美名の基にこれに制限を加えようとするのは手前都合勝手な言い分ではないのかという問題がある。 [1]
- ただ残念ながら、現状ではインド以外、中国も、ましてやアフリカ諸国では現在実用化されている複雑&大規模な原子力発電プラントを安全にオペレートし続けて行く能力は持ち合わせていない。
- ので、原子力発電プラントは今以上に技術革新を遂げる必要がある。 [2]
- この意味での最先端の技術&ノウハウの蓄積は、フランス&日本の寡占状態である。
- 「世界唯一の被爆国」である日本には「核兵器と結び付かないクリーンな原子力」というイメージが持たれている(彼らの過大な幻想の部分もあると日本人からは冷ややかに言える面も在るが)。
- 反対に核兵器を持っているアメリカ、フランス、(ましてやロシア)の影響下で原子力発電プラントを持ちたくない(政治的|情緒的)思惑もある。
- ので、その技術プラスαな「ブランド力」が日本にはある。
- 現段階で日本が原子力開発から降りたら、今まで「日本は世界唯一の被爆国」と言って、その平和的利用の牽引役をしていた(と彼らはみている)のから、しかも彼らがこれを必要とし始めた矢先という最悪のタイミングで降りるのは「無責任」と映る。 [3]
- 反対に原子力発電プラントを今以上の技術革新を遂げさせる責任は日本にあると期待されている。
- 彼ら独力で安全にオペレートできるようになるまでノウハウの伝授を含めた総合的な支援をする役割を担う責任が日本にはある。(彼らはそう期待している。)
- その日本で原子力発電プラント事故が起きたことは、これをどう始末付けるのか・・・未来に繋げる教訓を得ようとするのか、なし崩しに逃げてしまうのか・・・注目されている。
- つまり、いま原子力開発から降りるのは、「世界、特に途上国からの期待を裏切る行為であるので日本の国際的プレゼンス向上のチャンスを逃すだけでなく失墜すらしかねない」「せっかくの大きい国際的ビジネスチャンスをドブに棄てるに等しい」という国際貢献、金儲けの両方で大損をするのは愚か以外のなにものでもない(この二者が両立することは滅多に無いし)。
ビル・ゲイツは第四世代原子力発電プラント(今までのものよりコンパクトかつイージー・オペレート)の開発ベンチャーに多額の投資をしている。流石はビル・ゲイツと言うべきだろう。個人的にはビル・ゲイツは好きではないが、先見の明ありと評価するべきと考える。
TED RANDOM「「ゼロへのイノベーション」 ビル=ゲイツ、エネルギーについて語る。」
http://tr.loopshoot.com/id/767
2012年6月8日 23:25 追記:
一定以上の便益を備えているテクノロジーに於いて、それを凌駕するものに置き換わられたのでない限り、皆が「もう終った」「将来は無い」と言っているとき、こういう時こそ最大のブレークスルーのチャンスなのだと、直観的にそう思う。 もしかしたら、これが一番言いたかったのかも知れない。
2012年6月10日 05:24 追記:
先のエントリーで紹介した動画の中の細野大臣に報告書を渡す会見の模様を伝えたもの「福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか – YouTube http://www.youtube.com/watch?v=Agp1amvBv94&feature=plcp」,この会見終了後(YouTube動画ではカットされていますが)当日USteamで生放送されたもので、細野大臣が退席した後、大前氏が質疑応答に答える中で「この報告書で指摘した問題(福島事故の反省点)を真摯に受け止め改善に盛り込む姿勢が政府に見られないとなった時は、私は反原発・脱原発の側に回ります」と強い調子で述べております。私もこの大前氏のスタンスに全面的に同調する者で、「何が何でも原発推進」「無批判に原発賛成」ではないと、「原発推進賛同派だからこそ厳しい目で見つめ続けるべき」と考えると明言しておきます。