取り合えず “太陽” と “月” を見てみよう!

 西洋占星術に限らず占いというものは極めれば極めるほど更に奧が深くなる部分があるのですが、そう言っていては入門者の方はいつまでも入り口の前に立たされたままドアが開かれずに放ったらかしにされる形に成りますので、取っつき易さを優先して話を進めて行きたいと思います。 ですので、ある程度以上理解をされている方には「大雑把だなぁ、、、」と思われる部分もあると思います。

 昨今「載っていて当たり前」になった雑誌等の「星座占い」ですが、これは生まれた日時の太陽が入座していた星座(正確には「宮」)のみで運勢等を云々している訳です、「けっこう当たっている!」と思う方と「全然当たっていない!」と思う方が居ると思いますが、後者は至極当然で「太陽のみで総てが言いおうせる訳がない」からです、じゃぁ「当たる!」と思う方は何故いるのか、それはその方が太陽の働きが優位(マジョリティーと言います)な方だからです。

 まずは太陽と月だけを見て性格分類をする事にします。
 性格を幾つかのタイプに分けてしまうタイプ論は端的に言えば「乱暴な決め付け」を産む要素を持ち合わせているのですが、初心者の方の入り口には最適と言えます。
 気心が知れている親しい方のチャートを見て「性格分析ごっこ」を楽しんで下さい。 但し「ごっこ」である認識を忘れないように気を付けて下さい。

 つまり「当たっていない」と思った点があれば、それをしかと憶えて置くようにして下さい。 それは太陽と月の組み合わせだけでは顕されていない「他の何かの要素がある」と考えるべきでそれを記憶しておくことはより深い理解を生むきっかけになります、「西洋占星術は当たらない」という早計な結論に飛びつくとその後の進歩はありません。


 真剣に占星術を理解、習得しようと思わない方でもせめて「太陽と月」この二つのコンビネーションで見るようにして下さい。 

 現代は「意志」のみが突出した時代で「人間は感情の動物である」ということを知っているクセに、「感情」を「意志」よりも「肉的な劣等機能」として一段低く見なしています。

 「意志」によって血流を早くしたり遅くしたり、はたまた止めたり出来ますか? (ヨーガなど修養を積めば出来るという説もありますが、、、)答えはノーです。 翻って感情の起伏によってこれらは簡単に左右され、場合によれば様々な病気すら引き起こします。 これから判るように我々の身体は我々が思っている以上に「感情」が占めるウエイトが大きいという事です。 過大に意識する必要はないですが、軽んじてはいけないと思います。

 「意志の伴わない感情」が危険なように「感情の伴わない意志」もやはり危険です。 そういう意味で太陽と月は同等に扱わないといけないでしょう。


太陽と月のコンビネーションと簡単に言いましたが単純計算で12*12=144通りの組み合わせが生まれます。
これを解読していく手順としては

1:4区分による類型化をする(例:太陽-水&月-地)
       ↓
2:3区分による要素を加味する
       ↓
3:各星座の要素を加味する

というように進めばよいでしょう。

四代エレメント図解画像

ここでは初学の方向けということで最初の4区分による類型化をしたいと思います。

もう一度「4区分」をおさらいしておきましょう。

風=思考タイプ:双子、天秤、水瓶
火=直観タイプ:牡羊、獅子、射手
水=感情タイプ:蟹、蠍、魚
地=感覚タイプ:牡牛、乙女、山羊

参考までにこの4タイプの相関関係をグラフかすると右図のようになります。


風:火の組み合わせ
風、火とも男性原理で前向きな未来指向型、「最新の過去である現在」も含め過去には頓着しないので無茶で無謀。

 太陽-風:月-火
理想が過大で現状認識が甘い。 かなり面食い。 結婚には興味が無いひとと思っていたら衝動的に電撃入籍という人が多いような気がする。 一見政治家向きのように思えるのだが「ココ一番!」で責任回避をする悪い癖を持ち、せいぜい批評家、評論家止まり。
 太陽-火:月-風
冒険心に富んだ野心家。 論理的な面は小さくないが行動が先に立つタイプ。 異性に対しては自分の理想、妄想を押し付ける。 一見中立で公平な印象があるが実は「他人の話は聞いちゃぁいない」ので、このタイプのひとに相談事を持ちかけても馬鹿をみる事が多い。 政治家に向くが政治屋ばかりの今の日本の現状を考えるとその理想の高さから「?」が付いてしまう。

風:水の組み合わせ
 風と水は相反しつつ補完し合うという関係で、この組み合わせになっているひとはある意味「本音(私的生活)と建て前(公的生活)のギャップが大きい」と言えるので若い内は気性の激しさを持っている方が多い、後天的にこのギャップに気付き調整が上手く出来るかどうかがその後の運勢を大きく分けると言って良い。
 子供っぽさが抜け切らない方が多くこれが魅力に成っているので、どう成長を謀るかが人生の課題になる。
 太陽-風:月-水
 建設的行動、言動を望めない組み合わせ。 他人の心の微妙な変化を感じ取る敏感さと機転の利いたセンスを兼ね備えているのでアドバイザー的な才能がありそうに思えるが、相手に言動を合わせ過ぎる傾向が裏目に出て、結果的にその場に居ないひとの悪口を言っている事が多く、もめ事の火種になるトラブルメーカーが多い。
 太陽-水:月-風
 端的な言い方をすると「太陽(前向き)が風、月(後ろ向き)が水」となる通り、何かに向かって前向きに取り組んでいる時はかなり論理的で緻密、なのに過去に事をウジウジ言い出すと別人のように非論理的言辞になり戸惑う事もしばしば。 友人に火または土のマジョリティーの方が側に居ると上手くいく場合が多い。
 他人事だと冷静に受け止めれるのでアドバイザー的立場の場合長所が活かせる。 情緒で判断したほうが良い愛情問題を冷徹な論理で考えたり仕事に感情を持ち込む、という裏腹さを持っている。

風:土の組み合わせ
風の欠点は「地に足が付いていない」土の欠点は「現実的過ぎてクリエイティヴでない」、それぞれを補い合う関係なのでバランスが取れているひとが多いが、翻って無難な常識人であるとも言える。 そういう意味で面白味を求めるのは酷というモノ。
 太陽-風:月-土
発想、アイデアは突飛で卓抜しているが他人の感性(世間の流行)に鈍感なので、デザイナーやコピーライターなどには向かない。 いわゆる「アイデアの段階では秀逸だったのに完成してみると何の変哲もない」になりやすい。 勘違いしてクリエイティヴな職業を選択をして苦しんでいる不幸な方は多い。 努力で乗り切っている方も少なくないがそれとても二流、三流である場合が殆ど。
 太陽-土:月-風
受け手として感性、センスが良く生活力があるので、画家やデザイナーのパトロンに多いタイプ。 押しの強さを持っていればプロデューサー的職能にも繋がる。 といっても基本的には常識人の多い組み合わせなので、いち美術ファン、音楽ファンで終わっている場合が多数派。

風:風の組み合わせ
 太陽-風:月-風
 論理性に富んでいるが、理念的過ぎて現実感が稀薄な組み合わせ。 社交性、情報収集能力は卓抜しているので、そういう方面で活躍が見込める。 高度情報産業向きの組み合わせなのだが、処がどっこいse、プログラマーは意外なくらい(実の処は意外でも何でもなく「根気が無い」のが原因で、至極当然!)少ない。
 興味対象が次から次へと移り変わる飽き性で、持続性や粘り強さを他の星の配置が補ってくれているか後天的訓練で得ていないと、かなりちゃらんぽらんな人物になりやすい。 それでも生きていけるのは持ち前の社交性が在るから。 家庭生活不適合者が多そうな組み合わせだが離婚経験者は案外と少ない。 クイズ、とんち好き。

火:水の組み合わせ
火が直感タイプ、水が感情タイプ。 こうして並べると一目瞭然の通り冷静な論理性が欠如している組み合わせ。 太陽&月以外の星がこの欠点を補う位置にないと感情的で自分勝手なタイプになる。
 この組み合わせは育った環境、経験の影響が大きく、後天的訓練、修練によっては大人物に成る事も在れば下世話で低劣な人間も作る。
 太陽-火:月-水
他人の風評に影響されやすく思い込みが激しいので、根拠薄弱な噂が元で大事な友人を失いやすい。 穏やかな性格であれば「面倒見の良さ」が顔を出し、頼り甲斐のある人になる。 エネルギッシュで行動力があるのに不快なモノは故意に避けようとするので、追い風の時にはめっぽう強いが、向かい風にはからっきし駄目。
 太陽-水:月-火
 思い込みが激しく自分勝手、その自分の勝手な解釈を「社会のため」「これぞ社会正義!」と大袈裟にしてしまい他人まで巻き込もうとする強引さを持つ。 涙もろく浪花節好き。 自民党の政治家に多そうな組み合わせだと言える。 大抵アルコール好き。
 独特のカリスマ性を持っている方が居るが、その雰囲気&勢いで押し切ろうとするので風or土のマジョリティーからは嫌われます。

火:土の組み合わせ
車に例えれば火はアクセル(推進力)土はブレーキ、両方とも無いと車として成立し得ない事から判るように、両者の使い分けが上手く配分されていると非常に無駄のない実用的な人物ということになるが、配分が拙いとアクセルとブレーキを同時に踏んでしまう事になり、ちぐはぐで不器用な人物も作る組み合わせ。 何れにしても情緒的には雑な、デリカシーの無い人物になりやすい。 違う価値観を持つ他人への配慮、想像力が欠けており人付き合いは決して上手くないが、周りを自分のカラーに染めてしまおうとする強引さと迫力があり、反りの合わない人はそもそも近づいて来ないので人間関係のトラブルに巻き込まれる事は案外と少ない。
 太陽-火:月-土
 「他人のために金を使う」か「金のために他人を使う」のどちらかになりやすく、この開きの大きさがこの組み合わせの特徴を如実に物語っている。
 お気に入りのホステス、ホストに入れ込むタイプで、何でも金で解決しようとする癖は在るのだが、これは「手っ取り早く現実的方法を好むから」で意外に「金の限界」は心得ている。
 概して社会的地位が高く安定していくほどに出来た人物になってゆく。 育った環境が悪いと物欲まる出しの拝金主義者を作る危険性が高い組み合わせ。
 太陽-土:月-火
直感的先見性と現実的バランス感覚を持ち合わせ有能なビジネスマンを作りやすい組み合わせ。 何事も自分のペースで運ぼうとするので人間的に問題が無いわけではないが、一度した約束は必ず守るので下手な悪口は言えない、言えないから余計に腹が立つという構図が出来上がり反りの合わないひとはこの人の事を徹底的に嫌う。
 他の星の配置次第ではケチでセコい面が強調されてくる。 子供の個性を無視する教育ママがこの組み合わせの典型。

火:火の組み合わせ
 太陽-火:月-火
 独特の直感性を持ちそれによって得られたヴィジョンに向かって邁進する。 他人がなんと言っても意に介さない超然性を持っており直接関わりを持つひとには甚だ迷惑な存在となる場合も多々ある。 しかし何か新たなものが始まる時にはこういうドンキホーテが必要である事は認めなくてはいけない。
 アメリカなどではアントレプレヌール(起業家)に多い組み合わせだが日本ではその持ち味が生かされず爪弾きにされる事もある。 逆境に滅法強いのでそれでも何がしかの成功を年齢を重ねるに連れて収めていけると思われる。 せっかちなので無駄な動きが多いのは仕方ない。
土:水の組み合わせ
女性原理同士の組み合わせで前進性、攻撃性は薄い。 何事も自分の経験と前例に照らし合わせて考え、飛躍したアイデアは出てこない。 保守的で封建的。
 本質的に臆病なので、世界を広げて身の危険を感じるくらいなら世界を狭くしてでも安心感を得たいと考える。 当然無理をしないので生活力はある。
 太陽-土:月-水
 強い母性本能、保護本能の持ち主。 自分のペース、テリトリーを侵されたくないという意識が強いので心を許しているひとには非常に親切で丁寧なのに、親しみを感じていないひとにはかなり薄情、深く関わるとどうしても譲歩の必要に迫られるからである。 逆に言えばこのひとにとって「心許せるひと」というのは「自分のペースを乱さないひと」となる。 そのクセに他人のテリトリーにはズケズケと入って行く迂闊さを持っている、この意味で自分勝手であり頑固者と言える。
 太陽-水:月-土
 公私混同をするなど言動の基準が曖昧、上手くすれば「臨機応変」となるかも知れないが実際は「優柔不断」となる事が殆ど。 自分に自信が無く他人の何気ない一言に影響を受けやすい。
 場合によれば他人に振り回されるのに嫌気が差して誰の意見にも耳を貸さない偏狭なひとに成っていることもある。 その逆に他人の意見をさも自分の意見の如く自信満々に滔々と述べるひともある。 臆病者なので自己を主張することは少ないが意固地。

土:土の組み合わせ
 太陽-土:月-土
 物事の考え方捉え方が非常に即物的で、風の強い人の理念的な言辞は言葉としては理解出来ても本質的な理解は不能。
 教室で幾ら時間を掛けても「足し算、引き算」が理解出来なかった小学生が、何度かお買い物のお遣いにやらされると計算が出来るようになった、これが土のパターンの典型である。 つまり自分の経験や体験に結び付いたモノでなければ関心を示す事も無ければ理解も出来ない。 それだけに「如何ほどの経験を積むか」で有能or無能、人間的奥行き、人生で得られるモノ、、、etc 全てが左右される。 当然ながら自分の育った環境、家系というものに非常に自信を持ち誇りに思っている。 方向音痴が多い。
水:水の組み合わせ
 太陽-水:月-水
 情感、情愛をベースにした価値判断をしやすく、この判断は当然「一対一の個的もの」になるので、似たような事象でもAさんに対するのとBさんに対するのでは違って当然である。 これが第三者の客観的な目から見ると「首尾一貫性が無い」となり場合によれば「不正義」になってしまう。 この組み合わせが「悪人では到底ないのに悪事に荷担するひとが多い」所以はここにある。
 当然のことに「首尾一貫性」「公明正大さ」が要求される職、公務員、法曹関係は目指すべきではない。 汚職事件などに連座して免職になる公務員は意外とこの組み合わせの持ち主かも知れないと思うが確証を得ている訳ではない。 「首尾一貫性」を鍛錬するためになのか?seやプログラマーに成っている方は多い。

本稿は1998年初出のものに一部加筆訂正(誤字脱字の訂正、時代に即さなくなった表現の修正)して再掲するものです。